日頃当たり前に使っている言葉が、実は本当の意味は違うと知って驚いた経験はあるでしょうか。多くの大人が間違えて使っている日本語がたくさんあります。
最近ではクイズ番組などでも、日本語の正しい意味が取り上げられたりしますね。
筆者は接客業10年以上勤務を経て、高校生の小論文指導の仕事もしていたのですが、その際改めて日本語の使い方について勉強し直しました。この記事では、多くの大人が間違えやすい日本語をまとめております。
今一度確認して、デキる大人として堂々と生きていきましょう!
正しい意味や読みを覚えよう
普段の生活や職場などで、ごく普通に使っている言葉があるでしょう。
それ、「正しい意味」「正しい読み方」を理解して使えていますか?
今回は【仕事と生活】といったシーンに分けて、それぞれ10個ずつ言葉を挙げてみました。
「ずっとそう思って生きてきた!」という言葉や新しい発見に繋がると幸いです。
間違いやすい言葉10選【仕事編】

まずは仕事の場面において、よく使われる言葉を10個挙げていきます。
会議中や会話の中で間違えて理解していないか確認していきましょう。
役不足
役不足=「能力が足らない」ことではありません。
×「プロジェクトリーダーなど私には役不足です」
本来の意味は、「役」が「不足」しているということです。
「能力に対して役目が軽すぎる」という意味で使いましょう。
●第三者が相手の能力を評価して使う場合
例)「このくらいの仕事量では、君には役不足でしょう」
●自分自身を評価して使う場合は
例)「私にはこの業務は役不足ですが、全力で取り組みます」

「力不足」の意味で「役不足」を使わないように注意しましょう。
煮詰まる(につまる)
煮詰まる=「行き詰まる」という意味で使う場面が多く見られますが、それは誤りです。
×「煮詰まってしまい、意見が浮かばない」
本来の意味は、「話がまとまって結論に近づく」という意味です。
煮物を煮汁がなくなるまで煮込んで味が凝縮され完成間近となった状態が由来です。
例)「プロジェクトの企画がだいぶ煮詰まってきました」
ネガティブな言葉ではなく、ポジティブな言葉として「企画などが完成間近な状況」を表す際に使いましょう。

行き詰まったら素直に「行き詰まった」を使いましょう!
過半数を超える
「過半数を超える」は、「過半数」と「超える」が重複表現になるので、
「過半数に達する」「半数を超える」と言い換えて使うのが本来の表現です。
半分より多い状態に達したことを示す表現
「過半数に達する」「半数を超える」「過半数を占める」
「さわり」の部分
「さわり」の部分=「最初の導入部分」を指すのではありません。
「さわり」とは、「話の要点、聞かせどころ、最も興味を引く部分」のことを指します。
「さわり(触り)」とは、元々浄瑠璃の義太夫節で使われた「聞かせどころ・聞きどころ」から転じて広まった言葉。
歌でいえば「サビ」、映画や小説では「クライマックス」が「さわり」となります。

上司に「さわりを説明して」と言われたら、「要点、ポイント」を伝えるようにしましょう。
数えるほどしかない
「数えられるほど」は誤りです。
正しくは「数えるほど」=「少数である」「わずかである」という意味で使われます。
人や物事の数量が非常に少ないこと
例)「今回の参加者は数えるほどしかいない」
うろ覚え
「うる覚え」は誤りです。
正しくは「うろ覚え」で意味は「不確かな記憶」です。
「うろ」は「疎(おろ)」が変化したもので、「不十分な」「確かでない」といった意味。「おろ覚え」が転じて「うろ覚え」になったという説からきています。
例)「その数字についてはうろ覚えなので、もう一度調べてみます」
ありうる
「あり得る」と書きますが、読みは「ありえる」ではなく「ありうる」が正解です。
意味は、「可能性がある」など、ある物事が起こりうる状況や事柄を指します。

くだけた会話では「ありえる」ということも多いですが、ビジネスの場では正しい言葉を使うようにしましょう。
潮時
「潮時」=「あきらめるべき時期」「身を引くべき時期」という意味で使うのは誤りです。
×「これ以上やっても無駄だから、そろそろ潮時だ」
「ちょうどいい時期」が正しい意味。
「もうダメだ、あきらめよう」という意味ではなく、何かを始める、あるいは終えるのに最も適したタイミングを指します。
例)「今売り上げが伸びているので、新店舗をオープンする潮時だ」
例)「長年全力で働いたので、そろそろ引退の潮時だと考えています」

スポーツ選手の引退会見などのイメージから、少しネガティブに「終わり」や「引き際」と捉える人が増えてきたのかもしれないですね。
雪辱を果たす
「雪辱を晴らす」は誤りです。
「雪辱を果たす」が正しい表現で、「恥をすすぐことを成し遂げる」という意味。
前に受けた恥や屈辱を成果を出すことなどで消し去り、名誉を取り戻すこと。
「雪辱」=「辱(はじ)を雪(すす)ぐ」…恥や汚名を洗い清め、そそぐという意味。
「果たす(はたす)」…何かを成し遂げる、目的を達するという意味。
例)「次こそは雪辱を果たす!」
取り付く島がない
「取り付く暇がない」は誤りで、「取り付く島がない」が正しい表現です。
船で海へ出たがどこにも立ち寄る島が見当たらないということから転じ、「どうしようもない状況」「途方に暮れる」などを意味します。

意味はわかっていても、「島」と「暇」を誤って覚えないように気をつけましょう。
間違いやすい言葉10選【生活編】

続いて、私たちの生活の中から、よく使う間違いやすい言葉を10個挙げています。
小春日和(こはるびより)
あたたかくなってきた春の時期に、「今日は小春日和だね~」のような使い方が多くされています。しかし、「春」の晴天の日を小春日和というのは誤りです。
小春日和とは、晩秋から初冬にかけての、春のようにあたたかく穏やかな気候のことををいいます。旧暦では10月、新暦ではおよそ11月頃の気候を指し、冬に向かう時期に突然訪れる暖かさや穏やかさを春に例えた言葉です。
失笑(しっしょう)
「失笑」は、相手を馬鹿にして「あきれた」というニュアンスで使うことは誤りです。
笑ってはならないような場で、あまりのおかしさに、思わず笑いだしてしまうこと。
例)「的外れな発言に失笑を買っていた」
浮き足立つ
「浮き足立つ」=「ウキウキして落ち着かない」の意味で使うのは誤りです。
×「明日のデートが楽しみで浮き足立つ」
正しくは、「恐れや不安を感じて落ち着かない」という意味で使われます。
「浮き足」は、かかとが地に着いていないつま先立ち(不安定な状態)のこと。恐れを感じで逃げ腰になり、落ち着かない様子。
例)「明日大事なプレゼンを控えて、彼は浮き足立っている」
愛嬌を振りまく
「愛想」を振りまくではなく、「愛嬌」を振りまくが正しい表現です。
愛嬌…人から愛されるような仕草や表情そのもの。
愛想…人に対する態度や、おもてなしといった行為を指す。
つまり、愛嬌は振りまくことができるが、愛想は行為そのものなので振りまくことがきません。
首をかしげる
「頭をかしげる」という表現を使う人がいますが、「首をかしげる」が正しい表現です。
「首をかしげる」とは、疑問や不審な気持ちを抱き首をかしげること。
「考え込む」様子を表す際の表現として、「頭をひねる」「首をひねる」はどちらも使います。
顔をしかめる
「眉をしかめる」ではなく、「顔をしかめる」が正しい表現です。
「顔をしかめる」とは、不快、不満、不機嫌、苦痛、心配などによって、顔の筋肉を動かして表情に変化を起こすことです。
よって、「眉」はしかめません。
「眉をひそめる」 という言葉は、嫌悪感などの感情を表すときに自然と眉間にしわを寄せることとして使います。
情けは人の為ならず
「情けは人の為ならず」=「他人に甘い情けをかけると、その人のためにならない」という意味で使われることがよくありますが、それは誤りです。
「「情けは人のためならず」は日本のことわざの一つ。
「人に情けをかけると、その人の為になるだけでなく、巡り巡って自分にも返ってくる」という意味です。

いつか自分に戻ってくるので、他人には情けをかけて親切にするべきということですね。
足をすくう
「足元をすくう」「足元をすくわれる」は誤りで「足をすくう」「足をすくわれる」が正しい表現です。
「足をすくう」は、相手の隙につけ込み、卑劣なやり方や思いがけない手段で失敗させたり、敗北に導いたりすること。
例)「油断していたら彼に足をすくわれた」
例)「足をすくわれないように注意を払いましょう」
確信犯
「確信犯」=間違っていると分かっていて犯罪を行うと使い方は誤りです。
×「彼の遅刻は確信犯だ」
「確信犯」とは、自らが正しいことだと確信して犯罪とされていることを行うことです。政治的・思想的または宗教的信念に発して、正しいという個人の信念に基づいて行われる犯罪です。
例)「昔あった 過激派のテロは、信じる思想に基づいた確信犯だ」
したつづみを打つ
おいしい食事を食べた時に「したづつみを打つ」と言うのは誤りです。
正しくは、「舌鼓を打つ」という表現をします。
美味しいものを飲み食いしたときに鳴らす舌の音の意味が由来。
例)温泉旅行でいただいた素晴らしいお料理に、一同は舌鼓を打って喜びを分かち合った。
まとめ

いかがでしたか。
言葉の由来や意味をきちんと理解することで、正しい言葉が使えることがわかりましたね。
今回紹介した言葉はほんの一部です。実は間違って使っていたという日本語はまだまだたくさんあります。
親しい間柄ではそこまで気にすることもありませんが、ビジネスの場やかしこまった場面では、正しい日本語を使うことであなたへの印象も変わってくるでしょう。
これを機に正しい言葉、意味を覚えてワンランク上の大人を目指してくださいね!
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