「忌み言葉(いみことば)」という言葉をご存知でしょうか。
結婚式の準備や招待された時などに、周囲から「忌み言葉(いみことば)に気を付けなさい」と言われることもあるでしょう。
この記事では、「忌み言葉」を避けるべき理由、具体的な言い換えの事例について解説します。
私は結婚式の仕事に13年間携わり、3000組以上の新郎新婦様と関わってきました。
【結婚式で失敗しない言葉選び】について学んでおくことは、当事者である新郎新婦だけでなく、親や親族、友人として列席する場面においても役立ちますので、是非覚えてくださいね。
忌み言葉とは

忌み言葉とは、慶事の結婚式や弔事の葬儀などの場面において、ふさわしくない言葉のことです。
結婚式では「不幸」や「別れ」を連想させるような縁起の悪い表現を使わないようにすることがマナーとされています。
大人のマナーとしてきちんとおさえておくべき「忌み言葉」について、詳しく解説していきます。
避けたい言葉と言い換え例

普段の会話では特に気にする必要のない言葉も、結婚式ではNGとされる言葉も含まています。
よって、何気ない普段通りの感覚で、悪気なく使ってしまい、その場の空気を一変させてしまうことにもなりかねません。
そうならないためにも、結婚式という場を想定してどのような言葉がNGとされているのか見ていきましょう。
不幸・不吉を連想する言葉/言い換え例
死ぬ、亡くなる、殺す、終わる、絶える、壊れる、離れる、閉じる、別れる、切れる、消える、捨てる、負ける、敗れる、滅びる、倒れる、辞める、欠ける、薄れる、崩れる、落ちる、枯れる、褪せる、冷める、冷える、ほどける、割る、破る、散る、分ける、降る、飽きる、去る、焦る
消す、返す、流す、無くす、短い、嫌い、病む、悪い、浅い、忙しい、病気、最後、再び、痛い、悲しむ、おしまい、など
「九(く)」、「四(し)」※ここのつ、よんと言い換える
- お忙しい中→ご多用のところ
- 生きていたころ→お元気でいらしたころ(ご生前)
- 死ぬ、亡くなる→天国にいる、ご逝去する
- 終わる→ゴールを迎える
- 飽きる→満足する
- 去年→昨年
- 壊れる→変化する
- 泣く→涙する
- 辛かった→頑張った
- 負けた時→勝てなかったとき
- 最後に→結びに
- 披露宴を終了します→披露宴をお開きにします
結婚式はおめでたい日です。病気や死、壊れるようなことを連想させる言葉は特に気をつけましょう。スピーチなどではもちろんですが、テーブルマナーとしても言葉遣いを配慮することが大切です。
※句読点「。」や「、」についても、「切れる」「終わる」という意味があります。
ムービーや招待状の返事などで文章を書くときに使わないように気をつけましょう。
別れを連想する言葉/言い換え例
別れる、切れる、切る、終わる、失う、帰る、消える、逃げる、離れる、離す、捨てる、避ける、流れる、断る、去る、ほどける、ほころびる、戻る、冷める、飽きる、もめる、耐える、薄れる、嫌う、など
- ケーキを切る→ケーキにナイフを入れる
- 月日が流れる→月日が経過する
- 実家を離れる→一人で暮らす
- 仕事を離れる→家庭に入る、新たな道を歩む
- 短い時間→つかの間
- 料理が冷める→温かいうちに
- 新しい人生のスタートを切る→人生の新たなスタートラインに立つ
- 花びらが散る頃→花びらが舞う頃
「別れ」「終わり」を連想させる言葉は、スタートである結婚式にはふさわしくありません。
日本語は、同じ意味でも複数の言葉を持っているので、その場に合ったポジティブな言葉を慎重に選んでいきたいですね。
重ね言葉/言い換え例
重ね重ね、たびたび、いろいろ、わざわざ、くれぐれも、しばしば、たまたま、まだまだ、またまた、さまざま、皆々様、返す返す、次々、ぜひぜひ、なお、なおも、もう一度、また、など
- いろいろな思い出ができました→たくさんの思い出ができました
- 重ね重ね→深く、加えて
- くれぐれも→十分に、今後とも
- かえすがえす→幾度も、思い起こせば
- まだまだ未熟者ですが→今はまだ
- わざわざ→ありがたく
- たまたま→偶然
- 繰り返しとなりますが→先程も申し上げましたが
※いよいよ、ますます、みるみる、だんだん、どんどん、日々などはその後ろに縁起のよい話が続くケースが多いので、そこまで気にしなくてもいいでしょう。
また、結婚式では新郎新婦に対してマイナスになるような話題は避けましょう。
誰もが気持ちよく過ごせるように配慮し、そしてあくまで新郎新婦が主役であることを忘れず、失礼のないように心がけましょう。
夫婦や家族についてのネガティブワードはもちろん、下ネタや自分の自慢話などは避けるべきです。
まとめ

時代と共に結婚式のカタチも多様化し、カジュアルなスタイルも多いのは事実です。
新郎新婦のおふたり、ご参列の皆様が幸せな時間を過ごせることが一番なのです。
そして、あまりに神経質になり過ぎて、堅苦しいだけの言葉になってしまうことは避けたいですよね。大切なのは、一生懸命選んだ言葉に気持ちを込めることだと思っています。
しかし、年齢と共に立場や役割が変わっていき、それにふさわしい言動をすることが新郎新婦への贈り物にもなっていきます。さまざまなゲストが出席するお祝いの場ですので、できる限り意識して話してみてくださいね。